立場によって異なる住まいへの思い

住宅を供給する側も言葉を使い分けており、「商品」「家」「作品」「物件」といった言葉を使います。「商品」はハウスメーカーがよく使う言葉です。住宅にブランド名を付けて商品化してきた経緯があるからです。「家」は最もポピュラーですが、工務店や大工がよく口にします。「作品」は建築家や建築設計事務所の専売特許と言えます。「物件」は不動産業者が使う言葉です。同じ住宅でありながら、それぞれの立場によって言い方がこうも違ってくるのです。でも、日常的に使われている言葉であるために、われわれは無意識のうちに使い分けて、理解しているような気になっています。実際のところはどうなのでしょう。この4つのなかで歴史的に見て最も新しいのが、「商品」です。ハウスメーカーは何種類もの商品名を付けた住宅プランをアピールしています。また地域の中堅工務店、デベロッパーもそれにならっているので、いまや住宅に付けられた商品名は膨大な数になるでしょう。自動車やタバコ、酒も数え切れないほどの商品名が出回っていますが、住宅に比べればまだまだ少ないと言ってもよいくらいです。しかも、不思議なことに住宅の場合、商品名は付けられていても、その商品は実存していないのです。どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。これは住宅の販売手法と深くかかわっているのです。住宅業界の歴史を振り返ってみましょう。「歴史」というと少し大げさなので、過去を振り返ってみるくらいになります。昭和側年代の住宅不足を解消するために、大量生産・大量供給が目指され、ハウスメーカーが”建てる”から”売る”ことに力を入れ、商品性を前面に出すようになったことがはじまりです。住宅を商品として位置づけると”開発”が必要であり、その姿勢を強調するために「商品名」「ブランド」を付けるようになったのです。

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